2008年09月29日

欲望でつながる読書

さて玄月の官能文芸(そう、たしかにこれは「芸」なんだ)『めくるめく部屋』を読んだあと、何を読んだかというと・・・

『闇の子供たち』梁石日(ヤン・ソギル)/幻冬舎文庫
鬼畜ペドファイル(小児性愛者というよりは嗜好的児童性虐待者)からタイの子供を救うべく奮闘する現地NPOの日本人女性が絶望的状況に立ち向かい、打ちひしがれ・・・という、あまり救いのない物語。
実はこれ、読むの2回目。でも、読み始めるまで、まったく忘れてた。こんな凄絶な話でも、人間忘れるもんだという事実に愕然。

タイの少数民族の少女が、貧困ゆえに人身売買され、ペドファイル専門の娼館に売られ、エイズにかかったのち、生ゴミとして広大なゴミ処理場に捨てられ、そこから這って故郷の村へ帰り、そして・・・・・・

この前半の壮絶な展開だけでも「知っておく価値」はあるかと。
そして、実際には、ゴミ処理場に捨てられた時点で生きてはいられない。


人間の欲望はあらゆる可能性を高めるが、方向性とバランスを失えば、すぐ暴走する。
暴走することに酔いしれて、欲望は再生産され、どこまでもエスカレートしてゆく。
自分がその欲望の対象にはならない、という安全地帯に立ったつもりで。


まあ、そんなことを考えさせられる小説。
ほかに梁石日なら『血と骨』上下巻(幻冬舎文庫)が面白いですよ。
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