2008年09月29日

欲望でつながる読書

さて玄月の官能文芸(そう、たしかにこれは「芸」なんだ)『めくるめく部屋』を読んだあと、何を読んだかというと・・・

『闇の子供たち』梁石日(ヤン・ソギル)/幻冬舎文庫
鬼畜ペドファイル(小児性愛者というよりは嗜好的児童性虐待者)からタイの子供を救うべく奮闘する現地NPOの日本人女性が絶望的状況に立ち向かい、打ちひしがれ・・・という、あまり救いのない物語。
実はこれ、読むの2回目。でも、読み始めるまで、まったく忘れてた。こんな凄絶な話でも、人間忘れるもんだという事実に愕然。

タイの少数民族の少女が、貧困ゆえに人身売買され、ペドファイル専門の娼館に売られ、エイズにかかったのち、生ゴミとして広大なゴミ処理場に捨てられ、そこから這って故郷の村へ帰り、そして・・・・・・

この前半の壮絶な展開だけでも「知っておく価値」はあるかと。
そして、実際には、ゴミ処理場に捨てられた時点で生きてはいられない。


人間の欲望はあらゆる可能性を高めるが、方向性とバランスを失えば、すぐ暴走する。
暴走することに酔いしれて、欲望は再生産され、どこまでもエスカレートしてゆく。
自分がその欲望の対象にはならない、という安全地帯に立ったつもりで。


まあ、そんなことを考えさせられる小説。
ほかに梁石日なら『血と骨』上下巻(幻冬舎文庫)が面白いですよ。

2008年09月12日

玄月の『めくるめく部屋』は満室か?

玄月が芥川賞作家だということは知っていたがこの作品がファーストコンタクトになった。
玄月初の官能短編集『めくるめく部屋』(講談社)がそれ。

・めくるめく部屋
・かわいい奥さん
・京都見物
・寝取られ男のささやかな楽しみ
・肉のせい
・スイッチバック
・チサト

の、七編が収録されている。
共通しているのは、男が性に対して抱いている妄想が現実と交わる時、悲劇とも喜劇ともつかない結末が訪れるという、ある種、昔話や寓話テイストな味わい。
表題作は残酷童話チックな印象だし。

そして女性と男性のポジションがほぼ対等。いや、やや女性上位か?
とくに、「寝取られ男のささやかな楽しみ」「かわいい奥さん」この二編の対比が面白い。
男の体を自分の思い通りに自由に弄んでみたい淑女の皆様と、ついついAVコーナーの「痴女もの」や「人妻」といったジャンルに引き寄せられる紳士諸君にもってこいの1冊。

もちろん、リーダビリティーと描写力は芥川賞の折り紙つき。

ヴィレッジヴァンガード的には、サタミシュウの『私の奴隷になりなさい』(角川文庫)と一緒に積むのもありかも。

ちなみに、めくるめく部屋=スワッピングルームですよ。
posted by φ本 at 14:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍・コミック

2008年09月09日

ヴィレッジヴァンガードオンライン限定D[di:]『銭湯の人魚姫と魔女の森』直筆サインPOP付きは

ヴィレッジヴァンガードオンライン限定で、D[di:]さんに書いてもらった直筆サインPOP付き『銭湯の人魚姫と魔女の森』14冊ですが、サインは手元にあるものの、肝心の本が入荷しません!
発注は大阪屋のOPASから9/2に14冊しましたが、まだ発送予定になってない。
たしか大阪屋在庫があったはずなんですが。少なくとも文藝春秋の在庫はあった。

どうなんすか?

入るんですか?

返品待ちですか?

大阪屋さ〜ん、文藝春秋さ〜ん!

て、ここで叫んでも意味ないんですが、人生のすべてに意味があるなんて思ったら大間違いだぜ!
俺は常に自分の人生に逆ギレして生きてるぜ!
もちろんこの文章にも意味なんてない。

いや、そんなことはどうでもいいから、早く入荷してくれと祈るばかり。
この祈りがやがて日本を揺るがす新宗教に発展する前に、入荷プリーズ。

2008年09月05日

D[di:]『銭湯の人魚姫と魔女の森』(文藝春秋)の読後感はもやもやすっぞ!イェイ!

物語が終わっても、日常が続いていく気配を感じて、また最初のページから読みなおしてしまった。

それが、D[di:]の新刊『銭湯の人魚姫と魔女の森』(文藝春秋)の読後感と読後のリアクション。

その気配を漂わせているのは、D[di:]の観察眼。
とにかく、人の悪意未満の怠惰や傲慢や虚栄を見抜く眼は確かだ。
もっと直観的・感覚的に物事を把握してる人かと思ってたらさにあらず。
客観的・具体的に、人のとくに女性のいや〜な部分を描写しまくる。
ある種、漫画家の故山田花子的神の視点に近いか。
(ただしその神は、厄神かもしれない)

三十路直前女子のちょっといたたまれない日常と非日常。
見て見ぬふりをしてきたものを怖いもの見たさで見てしまうような・・・・・・。

ただし、ラストのクライマックスは逆に「幻視」と呼べるような美しさ。と残酷さ。
その一方で繰り広げられる、ありきたりでチープな人魚姫と男の愛憎劇。

これは『崖の上のポニョ』の24.5年後の物語なのかもしれない。

2008年09月02日

品川駅ナカの書店「BOOK EXPRESS ディラ品川店」の文芸書担当者さんとは友達になれそうな気がする。

だって、平野啓一郎の『決壊』を早くも今年度ナンバーワンに推し、
D[di:]の『銭湯の人魚姫と魔女の森』と玄月の『めくるめく部屋』を並べて平積みするんですもの。

以前からこちらの書店は好きでしたが、ますます好きになりました。
東京出張の折には、だいたい寄りますからね。
posted by φ本 at 21:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍・コミック